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導入事例(中学校・高等学校編)

中学・高等学校向け

 

グローバル社会で活躍するために、「使える英語」を実践的に学んでほしい。(立命館守山中学校・高等学校)

琵琶湖の豊かな水と自然の恵みを受ける滋賀県守山市。スーパーサイエンスハイスクールに指定された立命館守山中学校・高等学校は、2年前に開設されたばかり。真新しいキャンパスでは、知識と技能を実践的に学べる充実した教育環境を整え、地域や立命館大学と連携し、高度で実践的なサイエンス教育を行っています。さらに、先進の教育システムを創出して、グローバル化、情報化時代に対応した国際化教育にも力を入れています。中高大の一貫教育を生かしたゆとりあるカリキュラムと、大学進学後を見据えたユニークな英語の授業を展開する中、CASECをどのように活用しているのか、英語科教諭池田未来先生にお話をうかがいました。

中高大一貫教育を生かした、統合的な英語教育

 本校は、スーパーサイエンスハイスクールに指定されているため、サイエンス教育を中心に行なっていますが、21世紀の国際社会でグローバルに活躍できるよう、英語コミュニケーション教育にも重点をおいています。

 本校の英語教育の特色として、2点が挙げられます。ひとつは、大学受験がありませんから、基本を大切に、使える英語を勉強していこうということです。高校では、「オーラル」の授業が週2回あり、ネイティブの教師が中心となり、全て英語で文法を教えています。「リーディング」は、習熟度別のクラス編成になりますが、上位クラスではこれも英語で授業を行なっています。「オーラル」だけでなく「ライティング」や「プレゼンテーション」も、ネイティブの教師と日本人の教師のチームティーチングなので、おそらく半々、あるいはそれ以上に英語での授業になる予定です。「ライティング」に関しては、大学進学後にも役立つように、基本構文だけにとどまらず、英語でのエッセイやレポートを書くときに、何から書き始めるか、また、グラフの分析の書き方などの知識まで教えるようにしています。どの場面で使うかということも含めて勉強しておかないと、文法を覚えただけでは、実際には使えません。

 英語は言語ですから、教科としての英語の授業という小さい枠の中では、限りが出るのではないかと考え、学校生活の中で、自然と英語でのコミュニケーションが発生するよう授業を組み立てています。今のところ、生徒が英語にすぐ反応できるかといえば、必ずしもそうではありませんが、ネイティブの先生に英語で話しかける生徒も増えてきており、積極的に取り組もうという気持ちが強くなってきているのがわかります。

 そしてもうひとつは、他教科との連携を図っているということです。たとえば、理科や国語で学んだことを英語で「レポートを書く」「ビデオの前で説明をする」「ディベートをしてみる」というように実践しています。現在、その他にも理科の授業で科学用語を英語でも書いてもらうなど、他教科でも英語を意識した授業展開をするように進めているところです。

 来年度に始まる「プレゼンテーション」については、今まで個々に学習してきた「リーディング」や「ライティング」の知識を、多彩な体験プログラムやものづくりプロジェクトなどにおいて、統合的に実践する授業にしていきます。

TOEFL(R)の準備として、コンピュータテスト「CASEC」を活用

 CASECの導入を考えた一番の理由は、CASECがコンピュータテストだったことが大きいですね。これからの時代、コンピュータテストを受ける機会が増えると思いましたから、今から慣れておくのはよいことだと考えました。次にCASECの問題形式や内容にも魅力を感じました。「英語コミュニケーション能力判定」というのは、英語でコミュニケーションをとれる人になってほしいという本校の考え方に適していると思いました。

 本校では、1年生で2回、2年生の春にもう1回、合計3回CASECを受験します。まだ新しい学校でデータも少なく授業もオリジナルですので、教師としては生徒の英語力の向上が気になりますから、やってきたことをきちんとデータとして記録し、客観的に判断したいと考えています。CASECはデータを管理しやすく、生徒たちの英語力の進捗度を把握するのに、非常に役に立っています。また、CASECの点数を、次年度の習熟度クラス編成の参考にしています。このことは生徒にも告知していますが、生徒自身のやる気を起こさせているようです。

 ペーパーテストに比べると、生徒たちはとても集中してCASECを受験します。受験後、すぐにスコアが出ますので、生徒たちはセクションごとに、「ここが弱い」「やっぱりなぁ」などと話をしています。また、CASECの点数だけでなく、TOEFL(R)スコア目安(TOEFL(R) PBTのスコア目安)も出ますから、2年生の冬に受けるTOEFL(R)(PBT)の準備としても活用しています。

 3年生は、これまでの学習内容を実践し、国際的な感覚を養うきっかけ作りとして、夏に3週間、カナダかオーストラリアで海外語学研修を受けますが、その前後にTOEFL(R)を受験し結果を見ます。去年の12月に今の2年生がTOEFL(R)を受験しましたが、学年平均はだいたい400点を超えるくらいでしたので、そんなに悪くはないのかなと思います。

 TOEFL(R)は、慣れた本校で試験が受けられる点ではいいのですが、高校生にとって時間が長く、集中力の持続がつらいところです。その点、CASECは本校で受験できる上に、約40分という短時間で試験を終えることができますので、生徒たちは集中して実力を出し切っているようです。

国際会議で発表する準備を通して、英語を実践的に学ぶ

 今の日本の英語教育は、過渡期にあると思います。本校でも、試行錯誤しながらいろいろな試みを行っています。他教科との連携したカリキュラムもそのひとつです。日本は英語がなくても生活できる国ですから、英語の授業だけでは限りがあると感じています。他の教科でも英語を使った授業を行なっていけば、もっともっとうまくいくのではないでしょうか。

 また、本校では大学受験がありませんから、ひとつのプロジェクトを何週間も時間をかけてやるとか、同じ内容を複数のアプローチから取り組むなど、もっと言語としての語学を楽しむ時間を生徒たちに与えていきたいと考えています。

 本校は、スーパーサイエンスハイスクールですので、多彩なプロジェクトが進行しています。その中で、生徒たちは、英語と科学の授業の集大成として、琵琶湖の水環境に関する国際会議「水フォーラム」で発表をする準備に取り組んでいます。これまで、科学実験の結果を英語でまとめ、ポスターにして貼り出したり、パワーポイントを用いてプレゼンテーションをするなどの練習を行なってきましたが、まだまだ荒削りです。このような授業を通して、生徒たちはどうしてうまく資料がまとめられないのか、などの疑問を持ち、教師はそれを上手に拾い上げ、少しずつ刺激を与えていく。そういう繰り返しが、楽しくうまく勉強が進む方法だと思っています。ひとつのプロジェクトを長い間取り組むことで、実践的な英語を身につけるいいきっかけとなっています。発表を終えるころ、生徒たちがどれだけの成長を遂げているのか、楽しみですね。

CASEC EYE (キャセック・アイ)
2008 Spring vol.31

■導入事例
立命館守山中学校・高等学校
■スペシャル・インタビュー
松井 千夏 (スカッシュ)
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