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導入事例(企業編)

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全社員隔月のCASEC受験で英語学習の定着を目指す(株式会社エイチ・アイ・エス)
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日本発の海外旅行事業を中心に、テーマパーク事業、ホテル事業、国際チャーター航空事業など総合的な旅行ビジネスを全世界で手掛ける株式会社エイチ・アイ・エスでは、2011年からCASECを導入し、定期的に全社員にCASECの受験を義務付けることで、常に高い受験率を維持し、社員の英語力アップを図っています。同社のグローバル事業展開や人材育成策について、人事本部の信夫ふみさん、大久保智江さんにお話をうかがいました。

(左から順に)本社人事本部 人事グループ 人財開発チーム
鬼島絵里さん、大久保智江さん、
チームリーダー 信夫ふみさん、正司一平さん


01 世界54か国、115都市、166拠点でグローバルに事業展開

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——御社の事業内容を教えていただけますか。

信夫 「『旅を通じて、お客様に世界を知っていただき、感動をお届けする』をコンセプトに総合的な事業展開をしています。例えば、個人向けのパッケージツアーや旅行商品、法人向けの旅行商品、クルーズ、航空機チャーター、ホテル事業、テーマパーク事業などです。現在世界54か国、115都市、166拠点でこれら事業を展開しており、これは旅行会社としては世界進出国数No.1の規模です。弊社ではこの多店舗展開を引き続き推進しており、未進出国への展開を積極的におこなっています。直近では、南アフリカのヨハネスブルグやペルーのリマなどに出店しました。海外拠点での仕事も、かつては日本からいらっしゃったお客様の対応やケアが中心でしたが、現在は海外の拠点同士でお客様を相互に送り出したり受け入れたりする現地のお客様にむけた事業が成長しています。ですから、わが社のビジネスも、かつての『日本人のお客様向けのビジネス』から、『世界中のお客様向けのビジネス』という形にシフトしてきていますね」

——社内で英語を使う機会は多いのでしょうか。

信夫 「国内で接客業務をしている拠点では、日本語でほぼすべての仕事ができます。そのため正直、『なぜ英語?』とまだピンと来ていない社員もいるとは思います。しかし今後は業務をどんどんグローバルに展開していきますし、海外採用スタッフを日本に招いて研修することもあるので、日本で働いていても部下と英語でコミュニケーションをとらなければならない場面は増えています。例えば、私は以前、訪日旅行のお客様を受け入れる仕事をしていたので、場所は日本国内ですが中国、韓国、台湾、香港、オーストラリア、アメリカ、スペイン、ブルガリアなど、色々な地域出身の外国人スタッフがいたんですよ。皆日本語も上手でしたが英語でもコミュニケーションをとる環境でした」

02 全社員がCASECを受験することでグローバル意識が浸透

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——CASECを導入した背景にも、事業のグローバル化があったということでしょうか。

信夫 「はい。一つには、『今後、事業で英語が必要になっていく』ということを社員が認識し、英語学習を進めていくための社内風土作りという面がありました。それともう一つは、人事本部として社員全体の英語力を把握しておきたいという意図がありました」

——CASECを選んだ理由は何だったのでしょうか。

大久保 「まず、わが社は拠点が多く集合受験が難しいので、24時間いつでもどこでも受験ができることが大きな魅力でした。また、パソコンさえあれば自宅で受験できて、受験のためにどこかに出かけなくていいという手軽さや、すぐにスコアが分かることも決め手になりました。そして、試験としての精度が高いことも安心できる要素でした」

——具体的にはどのようにCASECを実施されていますか。

信夫 「まず2011年12月に、一部海外拠点も含め、全社員がCASECを受け、その時点での英語力を測定しました。翌年の1月〜2月は、大きなセールをおこなったり春の旅行の予約を受け付けたりする最繁忙期ですので、しばらく時間をおき、4月からCASECの受験を再開しました。最初は、『日頃の業務に加えて英語も?』という抵抗感や戸惑いも予想されたので、2011年12月と2012年4月のみ、ある程度強制力を持って全員にCASECの受験を義務付けるという形にしました」

大久保 「2012年、2013年は、4月と10月に全社員の受験を義務付け、そのほか、希望者は2か月に1回、偶数月にCASECを受けられるようにしています」

信夫「英語力測定ということだけ考えれば、2か月に1回も受けなくてもいいのかもしれませんが、英語学習を自分でやっている人が自分の能力を定点観測できるようにしてあげたいという思いがありました。また、頻繁にCASEC受験を促すことで、『会社は英語を必要としている』ということを社員に認識してもらいたいという意図もありますね」

03 グローバルな業務にキャリアチェンジできるジョブポスティング制度

——御社のジョブポスティング制度についてお聞かせください。

信夫 「半年に一回ジョブポスティング(社内公募)で人材を募集していますが、その時の基準としてCASECのスコアを活用しています。2012年にはタイをベースとしたチャーター便専門の航空会社、Asia Atlantic Airlines(アジア アトランティック エアラインズ)を設立し、客室乗務員を全社で募集しました。この時の採用基準の一つとして、CASECのスコアを要求しました。店舗カウンターで旅行パッケージ販売の業務に就いていた社員が、客室乗務員にキャリアチェンジした例もあります」

04 CASECで海外赴任や海外研修の選抜を行う

——CASECのスコアを主にどのように活用していますか。

信夫 「海外赴任者の選抜にあたってCASECの点数を参考にしています。わが社ではここ数年海外赴任が増えてきています。2012年は60人程度、2013人は70人程度が、海外に赴任しました。赴任が決まっているのに、英語力が不足している社員は、フィリピンのセブ島へ短期の英語研修に行ってもらうこともあります。また、この冬から一般スタッフを海外支店に2週間ほど派遣し、視察も兼ねて、海外支店での仕事ぶりを見てきてもらうという研修を始めています。その際にもCASECの点数を参考にして、派遣するスタッフを選んでいますね」

——職種によって必要なスコアは決まっていますか。

信夫 「具体的なスコアのハードルは設けていないのですが、人事本部として、『幹部社員なら何点くらいは必須です』というメッセージは出しています」

大久保 「そういった社員向けのメッセージは、役員からも出しています。わが社はもともと社長をはじめ役員クラスは英語を使って仕事をしてきているので、リーダー層には『業務に英語が必要だ』という意識はあると思います」

——今後特に英語力をつけてほしいのは、どんな社員層ですか。

信夫 「営業所の所長です。社員が最初に経験する管理職として多いのが所長です。この初級管理職に就いた社員は、数年で次のステップへ進み、海外に関係する仕事に就く可能性もあります。ですから、先を見据えて英語力もどんどんつけていってほしいと思っています。現場の所長は最前線の仕事なので、忙しくてなかなか自己啓発の時間がとれないはずです。しかし、会社が一番期待している社員でもあります。この層の社員に、グローバル化についての会社の方針を理解してもらい、『英語が必要なんだ』という意識を持ってもらえるようにしていきたいと考えています」

05 部署別のCASEC平均スコアを公開し、ライバル意識を刺激

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——実際にCASECを利用している社員の方々の感想や反響をお聞かせください。

信夫 「CASEC受験は、海外スタッフも含め、全社員が対象です。部門長の反応を見ていると、CASECがかなり定着してきたなと感じますね。『うちの部署は全員受けてないから受けさせなきゃ』『うちの部署の平均点は上がってきてる?』といった、反応や問い合わせが各部署からあるんですよ」

大久保 「ほかの部署について、『この部署の平均点はなぜこんなに高いの?』『この部署が上がってきたのはなぜ?』といった問い合わせもあります。いい意味で部署間にライバル意識が芽生えてきていると思います。あるスタッフは日本から東南アジアに赴任して半年になります。このスタッフは、最初はCASECで300点台だったのに今では500点台に伸びました。当然、業務はすべて英語でおこなっています。作成する資料も英語ですし、今では私宛てのメールも英語で来るんですよ。そういうスタッフがいると周囲の刺激になりますし、現地オフィスのスタッフも含め、みんなでCASECを受けてくれるようになりました」

信夫 「CASECを継続して利用することで、これからも社員のグローバル化を促進していきたいと思います」

CASEC EYE (キャセック・アイ)
2014 Spring vol.45

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