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天王寺区は、大阪市のほぼ中央に位置する人口約7万6千人の区です。区民の半数近くが40歳代以下という若手世代が多い地域の特色を活かし、水谷翔太区長は独自の取り組みを展開しています。昨年からは区の中学生向けに『即興型英語ディベートスクール』の事業をスタートし、参加者の実践的な英語力を伸ばし、CASECスコアもアップさせることに成功しています。この『即興型英語ディベートスクール』について、水谷翔太区長と、運営を担う株式会社ヒューマンブレーンの引間千尋さんにお話を伺いました。 (写真)大阪市天王寺区 区長 水谷翔太さん |
——天王寺区の独自の取り組みについて教えてください。
水谷 「若手世代や子育て世代が多いという区の特色を意識した教育や施策ができればと考え、『子育てバウチャー』の事業を始めました。任意の予防接種や幼児保育、託児サービスなど、これまで公費が充てられていなかった部分に対して、保護者の方々に使ってもらえるような補助制度を考えました。他では、中学生向けの『即興型英語ディベートスクール』や、小学生が社会の仕組みや職業体験ができるような『キッズシティ』をNPOの方と一緒に作り上げ、その成果が評価されて今年度からは大阪市の教育委員会の事業として引き取られ、大阪市全体の児童を対象に事業が進められることになりました。教育や子育て関係には特に力を入れて取り組んできたと思います」
——中学生向けの『即興型英語ディベートスクール』を企画されたきっかけや目的について教えてください。
水谷 「個人的に昔から英語が好きで、英語エッセイの大会で優秀賞を受賞し、オーストラリアに留学するなど、とても英語学習に興味がありました。思い入れが強い分、短期間で何かの制度を作っても満足できるものにはならないと考え、就任当初の予算編成では英語事業にはあえて着手しませんでした。ちょうどその頃、大阪市の寄付金を活用して英語交流事業を実施するという話が持ち上がりました。予算に限りがあるので各区のコンペ形式で決まることになったのですが、そのときに企画した事業が『即興型英語ディベートスクール』でした。中学生の頃から社会問題や関心のある問題に対して、『自分だったらどう制度を変えるか。どう解決するか』ということをよく考えていたのですが、『これらの考えを英語で話せるようになったら、世界のより多くの人に伝わるのではないか』と思うようになり、そのときから英語に惹かれていきました。英語は言語なので、誰かに何かを伝える喜びや、やりがいから、やる気を引き上げていかないといけないと思います。英語での議論やコミュニケーションが重要と考え、今回のような事業を企画しました」
——ディベートと聞くと子供たちには難しいのではと思いますが、どのようなプログラムになっているのですか。
水谷 「この『即興型英語ディベートスクール』は、私が高校時代に自主学習で取り組んでいた経験を体系化したものです。当時、CNNやBBCなどのニュースのスクリプトを読み、それについて短めのディベートをする訓練に家庭教師の先生と取り組んでいました。高校生が英語で話すにはとても難しい内容でしたが、それでも意見がない時は、『I don't have a special idea.』と言わないとディベートは進まず、次第に何か『special idea』を話さなくてはいけないと思うようになり、少しずつ自分の言葉で考えを言えるようになりました。この経験をより体系的に実現したものが、この『即興型英語ディベートスクール』です」
——CASECは、どういった経緯でお知りになり、どのような目的で使われているのですか。
水谷 「CASECは一般企業に勤める知人から紹介してもらい、興味を持って自分でも調べてみました。一般的にTOEIC®などは専用の対策をしないとスコアがあがらないといったイメージがあると思います。しかし、自分の中学・高校生時代の体験から、CNNやBBCを観て、英語で意見を考えて話すだけでも、学校の試験でトップのスコアがとれ、『英語の底力』や『基礎体力』が身に付いていることを実感しました。試験のための勉強をしていてもスコアアップはできると思いますが、『英語の底力』や『基礎体力』が高まれば、どんなテストでもある程度は対応できると考えました。そして、それがどのくらい効果が出るかを知りたいという思いから、あえてディベートとは直結しないCASECを、到達度測定で使ってみることにしました」
——結果的に明らかなCASECのスコアアップが証明されましたね。
水谷 「はい。自分の個人的な経験から体系化したプログラムでしたが、実際にCASECの平均スコアも395点から456点まで上がり(61点アップ)、みんな英語の底力が付いたのだと正直、驚きました。私の大学時代にはTOEIC®で900点以上のスコアを持っていても、英語が話せない人がいました。英語を話せるようになることと英語テストのスコアアップをすることを両立する方法は必ず存在すると思っていましたし、実際にこの『即興型英語ディベート』が、その方法の一つではないかと考えています」
——今後の英語事業の取り組みについてお聞かせください。
水谷 「このような『即興型英語ディベートスクール』の取り組みを学校の先生に話した際に、子供たちに喧嘩の仕方を教えると思われたら嫌だと考える人がいました。『ディベート=喧嘩』だと思っている人もいると知り、悩んだ時期もありました。しかし、ディベートでは相手の話を聴かないと自分が何を話したらいいか分かりません。相手の話をきちんと聴いた上で、相手に伝わりやすいように話すことが大切です。しっかりと傾聴した上で、自分の意思を論理的に伝える訓練になると思います。大阪市の教育委員会や学校だけではなく、全国的にももっと理解を深めてもらえたらいいなと思います。また、この『即興型英語ディベートスクール』に参加した中学生から、『高校生になっても参加したいから、高校生コースもやってほしい』という強い要望がありましたので、今年は高校生も対象にして事業を展開します」
——プログラムの内容について教えてください。
引間 「天王寺区役所では、約30名の参加者と半年程の期間で『即興型英語ディベートスクール』を実施しました。参加者のレベルに合わせて、1グループが4名〜6名になるようにグループを分け、各グループの中でさらに2名〜3名のチームに分けてディベートを実施しています。1回が100分間のコースですが、最初からディベートを行うことは難しいため、まずはアクティビティ(トレーニング)形式でスピーチの練習やディベートのテーマに対する学習時間を取るようにしています。その後、ディベートを行いますが、初級のグループではディベートを長く行うことは難しいので、ショートバージョンのディベートから慣れていくようにし、上級のグループではディベートの時間を長く確保するなど内容を変えて取り組んでいます。そしてプログラムの最後には、大会形式での成果発表会を行っています」
——参加者はどのように成長したと思いますか。
引間 「シャイな性格の方は、最初は紙を手で持ち、下を向いたまま話すことが多いですが、アクティビティでスピーチの際の身振り手振りや目線の向け方をトレーニングすることで、最後は見違える程、堂々とスピーチができるまでに成長しました。また、個人ではなくチームで取り組むプログラムのため、チーム同士仲良くなり、モチベーションの維持にもつながります。そのため、プログラムを通して全員で成長していくことができると考えています」
——CASECでの効果測定の結果はいかがでしたか。
引間 「『即興型英語ディベートスクール』を通して、多くの方の英語力が向上し、効果的なプログラムであることが分かりました。参加者の保護者の方は、『ディベートを通して、実際にどれだけ英語力が身に付いているか』という点を気にされていました。英語で堂々とスピーチができるようになっただけではなく、実際にCASECによって語彙・リーディング・リスニングなど基本的な英語力が身に付いたことを示すことができた点も良かったと考えています」
——実際に参加された方からはどんな感想が寄せられましたか。
引間 「参加者の方や保護者の方に最後にアンケートを書いていただきましたが、ほとんどの方が『参加してよかった』、『また参加したい』と書いてくれました。また、『英語で話すことや発信することができるようになった』など自信を持つことができたという感想や、『楽しかった!』という感想も多くあり、とてもうれしく思っています」
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