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導入事例(企業編)

企業向け

 

“グローバルでコミュニケーションができる企業をめざす(日立オートモティブシステムズ株式会社)
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自動車部品・システムのトータルサプライヤーとして、「環境」「安全」「情報」の三つの分野でグローバルに事業を展開している日立オートモティブシステムズ株式会社。海外事業展開の拡大に伴い社内のグローバル化も進み、将来の売上達成のゴールに向け、2018年には英語を社内共通語にするという意思決定もなされています。同社のグローバル人財育成の現状と展望、さらにCASECの活用状況について、人事総務部(部長代理)の高石毅さんと、研修を担当するグローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社(代表取締役)の布留川勝さんにお話を伺いました。

(写真)人事総務部 部長代理 高石 毅さん


01 戦いの舞台は世界。社内のグローバル化も進む

——御社のグローバル化の現状をお聞かせください。

高石 「弊社は2009年に日立製作所から分社・独立した特定のカーメーカーではなく世界中のカーメーカーに自動車部品や電動化システムなどを提供しています。現在、売り上げ全体における海外比率は60%を超えており、世界の主要地域に拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。また、研究開発から製品設計、製造まで、社内の各部門においても海外出身者が多く在籍し、社内もグローバル化が必要になっています。私のチームメンバーの一人もタイ国籍で、チームの共通語は英語です。こうした状況を受け、人財育成の在り方も変わってきました。以前は、仕事を通して英語力やグローバル・マインドを身に付ける、海外に出向して現地で経験を積む、というOJT重視だったのですが、海外事業拡大に伴い、それだけでは間に合わなくなってきました。そこで、近年は海外で仕事をするうえで必要なスキルや素養を養う研修を積極的に行い、グローバル人財の育成に取り組んでいます」

02 グローバル・マインドを身に付ける研修を実施

——どのような研修を行われているのですか。

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高石 「15年ほど前からグローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社さんと提携し、独自のプログラムを開発してきました。とくに社内で評価が高いのが、全新入社員に付与する『3カ月間の海外語学研修』や、主任・課長クラスの選抜メンバーが参加する『コア・グローバル研修』です。いずれも、ただ語学力を高めるのではなく、グローバル・マインドを身に付けることを軸にしていますが、早い段階からグローバル・マインドを養い、主任・課長クラスでは、グローバルでビジネスを行うために必要な要素を身に付けます。実は私も昨年、コア・グローバル研修に参加したのですが、年間12回の講座は基本的に英語で行われ、魅力あるプレゼンテーションをするためのノウハウ、グローバル経済の知識など、グローバルな舞台で戦うための要素が詰まった大変充実した研修でした」

——研修をするうえで工夫されていることはありますか。

高石 「研修をするうえで重視しているのが、きちんと効果を検証することです。現在は社内で年間約400講座を運営しているのですが、ほとんどの講座で、修了後に試験を実施し、合格点に満たなければ追試験をしています。追試験でも点数が満たない場合は、上長に連絡して徹底的に勉強をしてもらうようにします。また、研修の中には社員が講師を務めるものもありますが、受講後に受講者の講師に対する評価をアンケートにより実施し、講師も受講者も緊張感をもって研修に臨むよう工夫しています」

03 ネイティブランゲージの違う人との会話は英語に

——研修の成果と課題をお聞かせください。

高石 「とくに『コア・グローバル研修』の受講者からは、海外での商談などで、かなりの成果を感じているという声が多く届いています。海外赴任前に受けておいてよかった、後輩にも受けてほしいと、満足度も非常に高いです。課題としては、日本人社員の英語力の底上げがあります。弊社は、業界内世界トップ10入りをめざすため、将来の売上目標を設定し、そのための『グローバル人財戦略』を2014年に策定しました。これにより、今後、社員が海外に出ることはもちろん、海外からの人財受け入れも格段に増えることが予想されます。そして、そのような状況に対応するために、2018年に社内共通語を英語にすることを意思決定しました。具体的には、ネイティブランゲージの違う人と話すときには英語を使用することとし、ドキュメント類も基本的には英語で残すことになります。この意思決定に伴い、すべての社員が英語でコミュニケーションができるよう、以前にも増して英語教育に力を入れています。そのなかで、技術職や製造現場のスタッフなど、これまで英語が身近でなかった社員へもサポートできる仕組み作りに注力していきたいと考えています」

04 CASECをグローバルで活用。英語テストの負担を軽減

——英語教育の新たな取り組みとして、どのようなことを実施されているのでしょうか。

高石 「TOEIC® L&R500点未満の社員には、通信教育を提供しやってもらい、一定の点数まで上がると費用を補助する形を取っています。また、TOEIC® L&R500点〜700点の社員には、グローバルエデュケーションさんにて提供されている電話で1日10分間英会話ができるサービス『どこでもイングリッシュ』を導入して英会話力向上にフォーカスし、TOEIC® L&R700点以上の社員に対しては、さらに実戦的なスピーキング練習を徹底しています。なお、英語力の高い社員を対象に、今年度下期からは、スピーキング力を測るテストの導入も検討しています。区切りのTOEIC® L&Rスコアは今後見直していきます。弊社では、英語でコミュニケーションをとることをゴールとしているため、500点以上の人へは話すことを誘導する仕組みです」

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高石 「弊社では、それぞれの英語力のレベルに合った教育を実施するため、社員の英語力を年1回定点観測しており、その方法として、TOEIC® L&Rに加えてCASECを導入しています。英語が苦手な人や出張等で受験ができない人にとっては、テストを受けることに抵抗を感じたり、時間をとることが難しい状況があり、全員がTOEIC® L&R受験することはハードルが高いのが実情です。その点、CASECは自分のパソコンで自分の好きなタイミングで受けることができ、TOEIC® L&R換算もできるので、時間的な負担が少なくて済みます。そのため、TOEIC® L&R500点未満の英語初級者や英語に抵抗感のある人については、TOEIC® L&RではなくCASECの受験を行うことにしています。また、TOEIC® L&Rを受験しにくい海外出向者が手軽に受けることができるのも、CASECのメリットです。今後の展望としては、アジアや南米など英語圏以外の地域のスタッフの英語力の定点観測にもCASECを活用していきたいと考えています」

05 もう英語から逃げず、立ち向かう!

——布留川さんから見て、日立オートモティブシステムズはどのような企業でしょうか。

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布留川 「本来、人財育成の視点は新入社員から経営陣までそれぞれのステージにおいて必要であり、すべてを網羅した研修プログラムがあるべきです。しかし現状では、若手の育成に重点を置く企業が多く、若手の勢いある成長に管理職クラスがブレーキをかけてしまっていることが多々あります。その点、日立オートモティブシステムズさんは、若手だけでなく経営陣を含めて全社的に自らのグローバル人財化への意識が高く、英語の共通語化など、果敢に挑むチャレンジングな企業だと思います。客観的に見ても、着実かつ戦略的に、グローバル人財育成が進んでいると感じます。英語力を伸ばす方法は、継続学習以外にありません。そして、何のためにやっているかが明確でなければ、継続はできません。日立オートモティブシステムズの社員の皆さんは、グローバリゼーションの流れの中で、日々の業務においても英語は避けられないものであることを目の当たりにしているからこそ、英語学習へのモチベーションも高いのではないかと思います」


——今後はどのような研修プログラムをお考えですか。

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布留川 「海外に赴任してグローバルには活躍できても、日本に戻ってきたときに活躍できない、居場所がない、ではいけません。グローバル(Global)にもローカル(Local)にも活躍できる『GL型』のキャリアパスに合わせたプログラムが求められるでしょう。GL型の人財を増やすことで、一部の社員ばかりが海外赴任を繰り返すのではなく、社内で人財をローテーションできるようにもなります。また、今や新興国の人財はものすごい勢いで成長しており、日本人駐在員にも高いスキルが求められます。私たちの研修でも、彼らのような英語力やビジネススキルを兼ね備えたハングリー精神旺盛な人たちの中で、リーダーとして活躍していくためのマインドを育成することを意識しています」

——最後に、御社の今後の抱負をお聞かせください。

高石 「事業のさらなるグローバル化に伴い、お客さまはもちろん、日本語が話せない社員も今後ますます増えてくるでしょう。そのような状況の中で、英語でコミュニケーションを取るのは当然のスキルになります。つまり英語はビジネススキルの一つと捉えております。かつて布留川さんに『日本人は英語から逃げようとしてきましたが、もう逃げられません』と言われたことがあるのですが、本当にその通りだと実感しています。2018年の社内における英語共通語化に向けて、全社一丸となって取り組んでいきたいと思います」

CASEC EYE (キャセック・アイ)
2016 Winter vol.49

■導入事例
日立オートモティブシステムズ株式会社
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