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導入事例(大学・短大編)

大学・短大向け

英語で最先端の情報を取り入れ、自らの研究を発信できる理系学生の育成を目指して(青山学院大学 理工学部)

キリスト教に基づく教育方針を持ち、とくに英語教育や国際理解のための教育で全国的にも名高い青山学院大学。若者の街として活気づく青山と、都心からやや離れた緑豊かな相模原に2つのキャンパスを持っています。今回は、相模原キャンパスにある理工学部にお邪魔し、英語教育に携わる6名の先生方にお話をうかがいました。グローバル化が進みつつある現代、理系の学生にこそ英語力と幅広い国際教養を身につけさせたいと先生方はおっしゃいます。


(左から)理工学部 Reedy, D. W. 准教授、川口 悦准教授、Pagel, J. W. 准教授、蔭山友行教授、中村 功教授、矢部義之教授

英語に力を入れている理工学部

 青山学院大学理工学部でのCASEC利用回数は、年間延べ約1900回。1学年の人数が500人程度であること、英語の授業を受けるのは基本的には1〜3年次であることを考えあわせると、これはかなりの利用回数だ。

 理系の大学を目指す受験生にとって、英語はどうしても「苦手科目」「しかたなく勉強する科目」になりがち。ましてや、大学入学以降は、専門の研究や実験に忙殺されて、英語は軽視されてしまうことが多い。そんななか、青山学院大学理工学部では、入学後の英語教育にかなり力を入れている。

 「『青山学院大学は英語に強い』という世間の期待がありますからね。理系とはいえ、その期待に応えられるような学生を育てたいと思っています」と、英語担当の先生方は語る。

 では、理工学部での英語のカリキュラムを見てみよう。まず全学科共通の科目としてあるのが、1〜3年次の「英語読解」と2〜3年次の「English Communication」。前者では、幅広い英語の文章に親しみ理解する力を身につける。後者は、英語のネイティブスピーカーによっておこなわれる少人数の授業で、生きた英語に触れ、自分の意見を英語で発信できるようになるのが目的だ。そのほか、学科によって、「英語総合演習」「技術英語」「英作文」の授業を選択でき、全体として幅広い英語力を身につけられるようになっている。

 また、理工学部のある相模原キャンパスでは、オーディオ・ビジュアル機器を活用した語学学習をできるように、メディアライブラリーが設置されている。メディアライブラリーの中には、語学対応のCALL教室が12教室もある。青山キャンパスのCALL教室が4教室であることを考えると、相模原キャンパスの充実ぶりがよくわかる。

CASECとTOEFL(R)テストでレベルチェック

 他学部も含めた全学的取り組みとしては、英語力の推移を測るために、1年生入学時のオリエンテーションでプリテストを、2年生終了時にポストテストを受けさせている。プリテスト、ポストテストに使われているのは、TOEFL(R)テスト ITPだ。

 実は、理工学部では、現在、英語のカリキュラムの改革が進行中だ。教員、学生にアンケートをとり改革の方向を検討中だが、レベル別の英語の授業を望む声が多く、その方向で改革が進む可能性が高いという。レベル別の英語の授業は、文学部英米文学科、国際政治経済学部などですでにおこなわれているが、学生の能力に合わせてきめこまかい指導ができるのが特長だ。

 では、CASECはどのように活用されているのだろうか? CASECの利用法は各先生方にまかされているが、学年の初めと終わりにレベルチェックのためのテストとして使う先生が多い。

 「CASECは、短い時間で気軽にレベルチェックをできるのがいいですね。大学の授業は90分ですから、準備なども含めて90分以内で終わることが絶対条件なんです」と先生方は話す。

 では、CASECに改善を求めたいところを尋ねてみると——。「CASEC自体の問題ではないんですが、学生のモチベーションを保つのが難しいなと感じるときがありますね。レベルチェックだけで成績評価や単位認定に関わらないとなると、学生によっては『じゃあ、本気出さなくていいや』と思ってしまうようで。なかには、その日は欠席してしまう学生もいるんです」と先生は苦笑いする。英語を身につけ試験を受けたあと、その先に何があるのか、理系の学問を学ぶ学生として英語力をどう活用していくのかを示していくことが大切だと、先生方は感じているようだ。

 現在進行中の改革が進み、理工学部でもレベル別の英語の授業が実現されれば、学生たちの間で英語のレベルを上げることへのモチベーションがもっと高まるかもしれない。

理系だからこそ英語力が必要

蔭山友行先生

 「学生のモチベーション」という話が出たところで、改めて、「理系と英語」というテーマでお話をうかがった。日本の大学受験のくくりのなかでは、英語というと、どうしても「文系」というイメージがあるが……。

 「ええ、確かに、理系だと、『大学に入学したら英語とはもうお別れ。やらなくていい』という発想を持っている学生が結構います。でも、『そうじゃないんだよ』というメッセージを送るのが、私たちの役割だと思っています。私たちはむしろ、理系こそ英語力が必要だと考えているんです。最先端のサイエンスの情報をいち早く取り入れ、自分の研究を世界に向かって発信していくとなると、どうしても高度な英語力が必要になる。英語力の必要性は、文系よりもむしろ切実なのではないかと思います」

 先生方のおっしゃるとおり、サイエンスは文化の違いを越えて、各国が情報を共有していける分野だ。また近年、学力低下が叫ばれているとはいえ、日本人生徒・学生の理数系科目でのレベルは、世界のなかでまだまだ高水準を保っている。日本の「お家芸」ともいえるこの分野で、世界の研究者・開発担当者と肩を並べて共同作業をし、英語で発信していける人材を育てていくのは、日本の高等教育全体に突きつけられた重要課題だといえそうだ。

“英語の青山”という世間の期待に応える

 「それに社会や企業からの要請もあります。“英語の青山”という創立以来の伝統がありますから、卒業生はどうしても英語に強いというふうに見られます。企業入社後に、理系研究者として海外に派遣されることもある。そうなってから慌てて英会話学校に通わなくていいように、しっかり英語力を身につけさせたいと思っています」

 また最近は、TOEIC(R)テストなどのスコアを重視する企業も多く、卒業までに一定のスコアを取りたいと考える学生も多い。そういった学生の熱意に応えたいと先生方は考えている。

 「学生によく言うのは、『語学は勉強しないとすぐに忘れてしまう』ということです。だから、卒業単位を取ったあとでも、現在の語学力をキープするために英語のクラスを取るように指導しています」

 では、理工学部で使っている教材は、理系ならではのものなのだろうか? それとも、幅広い国際教養をつけるためのもの?

 「両方ですね。サイエンスに関する教材は、なるべくどの授業でも1つはとりあげるようにしています。『語学教材で、専攻科目に関するものを取り上げる』というのは、理工学部に限らず、全学部の方針です。やはり、専攻に関わるものを英語で読めるようになってほしいですから。でもその一方で、理系知識だけに偏らず、幅広い国際教養も身につけさせたいと考えています。今の時代、理系だからこそ、文系的教養が必要になってきている部分もあると思うんですね。卒業後、海外に行ったときに、異文化を受け入れ吸収してほしい。そのためには、広い知識と教養が必要ですから」

 幅広い国際教養と英語力、そして専門知識——青山学院大学理工学部からは、そんなバランスのとれた理系学生が次々に巣立っていっているようだ。

CASEC EYE (キャセック・アイ)
2007 Summer1 vol.32

■導入事例
青山学院大学 理工学部
■スペシャル・インタビュー
畠中 恵美(テコンドー)
パンフレット

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