
大阪成蹊大学 国際観光学部様
英語を通して学習の自己マネジメント力を育成する 英語をもって夢の実現に寄与する、人間教育という視座をもった英語教育
91年の歴史を持つ大阪成蹊学園にあって2003年に開学した大阪成蹊大学。2022年4月に「国際観光学部」、2023年4月には「データサイエンス学部」と「看護学部」を開設し、総合大学として成長を続けている。学びの幅がいくら広がっても一貫しているのは「桃李不言下自成蹊」という建学の精神に基づく人間教育だ。その大阪成蹊大学でもっとも英語教育を重視し様々な取り組みを行っているのが国際観光学部である。英語教育と人間教育、そしてCASECの活用について、国際観光学部教授の坂井純子先生と准教授 のデイヴィス恵美先生にお話を伺った。
お話を伺った方:
国際観光学部 教授 坂井 純子先生
国際観光学部 准教授 デイヴィス 恵美先生
課題
- 検定の試験時間が長く学生の負担が大きい
- 教員がTOEICの換算点を算出しなければならなかった
- 運営費用もかさんでいた
- 実施時のトラブルが多かった
解決策
- CASECの導入
効果
- 試験時間が短くなり学生の負担が減った
- TOEICの換算点がスコアレポートに出るので教員の負荷がなくなった
- 運営費用が格段に下がった
- 実施トラブルがなくなった
- クラス分けの精度が上がった
- 教室でのコミュニケーションが増えた
教育目標・特長
- 目標をたててそれに向かって学習できる人材の育成
- 授業+e-learningで、2年かけてじっくり英語力を育成
- 独自の学習ポートフォリオで学習計画のマネジメントを習得
- 学生が英語を使って発表できる様々なコンテスト等の機会
- 1年次の短期留学・3年次の長期留学と4年間でSTEP留学を実現して卒業可能
大学について
2年間の英語教育で、強固な基礎力と自分で学習をマネジメントできる力を養う
― 国際観光学部の英語教育の方針を教えてください。
【デイヴィス】今、社会では英語を使えることがデフォルトになりつつあります。英語ができないことで自分の夢を諦めなければならないこともあるかもしれません。逆にいうと、英語が上達すれば実現できる夢の選択肢が広がることになります。しかし英語は自ら目標をたてて自分の現状を見極めて、その間を埋めていく努力をしなければ向上しません。英語を通して語学力だけではなく、自分で学習をマネジメントできる力も培っていきたいと考えています。
自分で学習をマネジメントできる力は生きていく上でも有用です。どんな会社にいっても自分で目標をたててそれに向かって進んでいける姿勢が求められます。いわば人間力であり、人間教育を大切にしている本学の建学の精神にも適っています。学生には責任をもって自分で学習をマネジメントできる人になってほしいです。
― 特徴的なカリキュラムや取り組みを教えてください。
【デイヴィス】多くの大学の場合、一般教養の必須科目としての英語は1年次のみというところが多いと思います。国際観光学部では、レベル別の少人数クラスで、2年次までの2年間しっかり英語教育を行います。また授業の中だけでは充足しきれない学習を補うため、e-learningを取り入れています。一生懸命e-learningに取り組んでいる学生の多くが着実な成長を実感しています。
国際観光学部の英語カリキュラムの取り組みすべてを一元化して管理できる学習ポートフォリオを作成し、一人ひとりに配布しています。学生はこの冊子を常にアップデートし、英語学習における自分の目標や取り組み、改善すべき点などを記録して、自分で学習をマネジメントできるように活用してもらっています。
【坂井】また2年次は英語のビジネスプレゼンテーション大会を毎年行っています。チーム戦で、学部内の予選を勝ち抜いたチームは大学全体の本戦に出場します。例えばこの2年間は、海外向けのツアープランなど観光の授業で扱った内容をベースに、英語で組み立て直して発表しました。英語力だけではなくコンテンツが問われる大会なので、非常に学びが多い取り組みです。
【デイヴィス】海外研修に関しては「STEP留学」という制度があります。この制度を利用すると、希望者は1年次に最初のステップとしての短期海外研修を経験し、その上で3年次に長期留学へと挑戦することができます。
英語教育全体の話になりますが、1年次に基礎固めと短期留学、2年次で学内で発表し、3年次に長期留学と段階を踏んでいます。いきなり難しいことをするのではなく、学生一人ひとりが自分に適切なレベルや方法を起点に、卒業時には成長を実感できるように支援しています。

CASECの活用について
プレイスメントやe-learningの効果測定に活用
― CASECはどのように活用されていますか。
【デイヴィス】CASECは、入学時にプレイスメントテストとして実施し、入学後は前期後期の学習の成果を測るために活用しています。そのため1年次で3回、2年次では2回受けることになります。
加えてCASECはチケット制なので、一定数余ります。その余ったチケットを使って、3年次の長期留学に行った学生に、帰国後受験させています。年度によって余るチケットの数や長期留学参加学生数が変動しますが、チケットが足らなかったとしてもCASECはその分だけ追加できます。とても使い勝手が良いと感じています。
他にも先ほどふれた学習ポートフォリオに使うスコアもCASECのスコアです。学生は、レポートを見ながら目標設定を見直したり、振り返りをしています。CASECを中心にPDCAサイクルが生まれ、「自分で責任を持って学習をマネジメントできる学生の育成」という私たちの目標に欠かせないツールとなっています。
導入経緯と効果について
試験時間、教員の手間や費用など運用の負担が圧倒的に軽減
― CASEC導入の経緯を教えてください。
【デイヴィス】以前はプレイスメントや前後期末の検定に、4技能の英語力を測定する別の試験を採用していました。やはり4技能の能力の測定となると試験時間がかなりかかり、学生への負担が課題となっていました。
また学生には3年次にTOEICで最高点を取ることを促しています。その関係で検定試験の結果をTOEICの点数に換算しなければならず、教員が換算をしていました。結果にもブレが出ますし、かなり大変な作業でした。
そんな中CASECを知り、試験時間が短く、TOEICに加え英検®の換算点もでるということで、導入することになりました。
【坂井】以前導入していた試験は国際観光学部の学生数が増えたこともあり、費用面での問題もありました。
また、トラブルが生じた際に学生や教員では対応できないことがあり、受験し直しというケースが何度かありました。CASECを導入することで費用を大幅に抑えることができた上に、学生が自宅で受験したとしてもブラウザが動かないなどのトラブルを聞くことがなく、非常に快適に利用しています。
クラス分けの精度が上がり、教室内でのコミュニケーションが増加
― CASECを導入してどのような変化がありますか?
【デイヴィス】教員の負担がとても減ったので、相談にのるなど、学生のために使える時間が増えました。オペレーションのスムーズさに関しては本当に感謝しています。
またクラス分けの精度が格段に上がりました。特に入学前の学生は一人ひとりを実際に知っているわけではないので、このCASECのスコアによるクラス分けは1年前期の授業運営に非常に大きな影響があります。
【坂井】伸びが見えやすく、結果がその場で出るので教室内で話が盛り上がります。教員に報告にくる学生がいたり、相談する学生がいたり、とにかくコミュニケーションが増えました。
今後について
目指す英語教育の完成と全学への普及を
― 英語教育の今後の展望を教えてください。
【坂井】来年度から、他学部と合同で1年生を対象とする英語集中プログラムをスタートさせる準備をしています。1年次に集中的に英語科目を履修することで自立学習の習慣の形成とTOEICスコア向上を目指し、2年次以降は各自がそれぞれの専門分野との関連で英語力を伸ばしていけるようにしたいという考えです。この新たな展開により、大学全体の英語教育のさらなる向上に繋げていきたいと思っています。
【デイヴィス】観光には興味があるけど英語が苦手だったり、好きだけどそれほど話せなかったり、入学時にはそういう学生がたくさんいます。しかし、しっかり基礎を固めることで、運用力が身につきますし、3年次、4年次に外部の英語のコンペティションで賞を獲るくらい学生は成長します。
私たちの英語プログラムで成長し、自信をもって卒業していく学生を見ることは何よりの喜びです。これからもそういった学生が一人でも多く巣立ってくれるように支援していきたいです。
私たちは、学生に自分で目標を立てて英語を使って夢を実現してほしいと思っています。その力が身につくカリキュラムの完成を目指していて、今、その一歩手前まで来ている実感があります。

Client
大阪成蹊大学 国際観光学部
・設立年:2003年(学園設立1933年) ・学部:データサイエンス学部、看護学部、経営学部、国際観光学部、教育学部、芸術学部