
成城大学 文芸学部様
学生が目標達成するため英語力を養成。そのためにしっかりとした基礎を育てる
成城大学は4学部11学科からなる人文社会学系の総合大学である。その中で最も多彩な学科群を擁するのが文芸学部。国文学科、英文学科、芸術学科、文化史学科、マスコミュニケーション学科、ヨーロッパ文化学科と6つの学科がある。学生は所属している学科に加え副専攻として他の学科でも学べ、さらに全学科に開講されている科目も履修できる。学科横断で幅広くかつ深く文化について学べるのが特徴だ。文化を探究する文芸学部の英語教育とCASECの活用について、文芸学部准教授の林南乃加先生と、同准教授の細田雅也先生にお話を伺った。
お話を伺った方:
文芸学部 准教授 林 南乃加先生
文芸学部 准教授 細田 雅也先生
課題
- 英語SEE-A・B(Input)の成績評価に含まれるCASECの受験率向上
解決策
- 成績の中での位置付けを見直すことで受験動機を明確にした
- 周知を徹底した
効果
- 高い受験率
- 学生のスコアへの関心
- 教員が個々の習熟度を理解できるので授業の組み立てがしやすい
- 学生の集中力が保たれる短時間のテスト=スコアの信頼性が高い
教育目標・特長
- 高度な英語力より、ツールとして英語を使うスキルを育てる
- レベル別少人数クラスの英語SEE-A・B(Input・Output)で英語力の土台を作る
- 海外からの留学生とともに学ぶ擬似留学と留学準備ができるSIEP
大学について
レベル別の少人数クラスで、目標達成のための英語力を養う
― 文芸学部の英語教育の方針を教えてください。
【細田】理念的には、英語の専門的・言語学的な知識を身につけることより、職業や学問上のニーズに応じて英語を使うスキルを習得することに比重を置いています。文芸学部には国文学科や文化史学科のように英語をメインとして使わない学科もあります。それらの学科の学生には高度に専門的な英語の知識より、英語を使って目標達成できることの方が重要です。そのためには、知っている単語や文法を、聞く・話す・読む・書くといった技能に応じて、自分で活用できる運用力が求められます。そういうスキルを身につけさせることが目標になっていると考えています。
― 特徴的なカリキュラムを教えてください。
【林】英語SEE(Seijo Essential English)という1年生を対象とした英語必修科目があります。1つの科目で4技能すべてを教えるのではなく、リーディングとリスニングのInput型と、スピーキングとライティングのOutput型の2つの科目に分けて英語の基礎を教えています。授業のコンセプトを明確にすることで、4技能を効果的に培います。
【細田】レベルごとに分かれた少人数クラスということもSEEの特徴です。大学の一般教養の英語の場合、少なくても1クラス30人、多いところでは1クラス70人編成です。それに対してSEEは15人〜17人のクラスサイズで授業が行われます。私も教えていて、学習者一人ひとりに綿密なフィードバックができますし、学習の進捗状況も管理しやすいので理想的なクラスサイズだと思っています。
【林】大学全体のプログラムですが、SIEP(成城国際教育プログラム)というものがあります。留学を視野に入れた学生のためのプログラムで、必須科目の留学準備演習、選択科目の地域研究、日本研究、Special Topicsなどの科目があり、海外から本学にきている留学生と一緒に学ぶことができます。プログラム内で海外の学生と交流ができるので、留学の擬似体験にもなります。留学の下準備としてはとても良い取り組みですし、SIEPをきっかけに本格的に留学を志す学生も多いと聞いています。
CASECの活用について
プレイスメントや成績の一部としてCASECを活用
― CASECはどのように活用されていますか。
【林】主に英語SEE-A・B(Input)の中で、プレイスメントと成績評価の一部として使っています。SEEはレベル別なので、まずそのためのプレイスメントテストが必要です。1年生は入学前に全員CASECを受けます。そしてSEEのInput型の成績の一部として、CASECのスコアの伸び率を評価しているため、前・後期それぞれの学期末に再度受験します。成績は80%が授業の成果ですが、残りの20%をe-learningの成果で測っていて、その中にCASECのスコアの伸び率が含まれています。
2年次以降の英語科目には、英語中級クラスと上級クラスがあります。英語のレベルによっては中級を飛ばして上級クラスに入ることも可能です。その際の審査にもCASECのスコアを参照します。
【細田】SIEPの参加基準にもCASEC550点以上という基準があります。(CASECの)実施はSEEだけですが、学内様々なところでCASECのスコアを活用しています。
周知や評価体制の明確化で高い受験率を実現
― 活用において課題はありましたか。
【林】成績の一部に含まれるとはいえ、各学期末の学生の受験率については心配でした。しかし蓋を開けてみると心配は不要でした。特にCASECをe-learningの評価に含めることになった2023年度からはとても良い受験率だったと聞いています。受験率に関しては、WebClassを通して何度も周知していたことと、e-learningの評価に位置付けたことが有効だったと思います。授業の成果の中では、CASECを受ける意味が学生の中でも漠然とします。日頃の授業とCASECは別物ですから。それに対し、e-learningの範疇としての評価となると、CASECの受験が理にかなったものになります。教員側もどう評価するかの軸が明確になった印象があるので、学生にも同じような効果があったと考えられます。
CASECの効果について
学生の実力を見極めやすく、授業の組み立てにも活用
― CASECを利用するメリットは何でしょうか?
【林】受験してすぐスコアが出るのはとても良いと思います。そのおかげで学生も自分のスコアがどれくらい伸びたかちゃんと把握できています。オンラインで受験できることがe-learningとして大変好都合と感じています。以前は学内で実施していたこともあったようですが、今は学生が好きな時間に好きな場所で受けています。教員としても推奨しやすいです。
【細田】低いスコアは適当に答えてもとれる可能性がありますが、高いスコアをまぐれでとることは難しいです。そのためCASECのスコアで英語の熟達度がある程度分かります。それを元に英語の授業を組み立てることができます。これもCASECの利点です。
加えてCASECはアダプティブテストなので短時間で受験者の英語力を測ることができます。他の検定では試験終了までに2時間かかることもあります。2時間かかると受験者も疲れてきて実力が発揮できません。つまり試験の信頼性が損なわれます。その点、短時間で結果が出るCASECは試験の信頼性が確保されやすいことを意味します。これはCASECの強みになっていると思います。
今後について
より強固な英語の基礎を確立し、生成AIを掛け合わせて使える力を育てたい
― 英語教育における目標を教えてください。
【林】2年次、あるいは3年次まで英語SEEのInput型・Output型の授業を拡張しても良いかもしれません。SEEは英語の基礎を学び、土台を作る授業です。もう少し長くこの取り組みを行って、しっかり基礎的な英語力を強化し、それがさらに6学科それぞれの専門的な学びに繋がっていくとより到達度が上がるのではないかと思います。
【細田】これからの社会は生成AIありきで動いていくと思います。その社会を鑑みると、学生に生成AIを使わせないということは、現実社会を反映していない教育をするということになります。一方、学生に生成AIを使わせると生成AIそのままの回答が出てきて、生成AIを使っているというより生成AIに使われている状態であることも多いです。生成AIの強みと弱みを正しく把握し、人が使う側にならなければ求めた結果は手に入りません。自分自身の英語力にAIを活用する力を足したものが次世代の英語力になってくると思います。
AIを有効活用することで、自分一人の力で行うよりも高い成果を得る力。これが今後求められるでしょう。目標達成のための英語としてはなおさら、そういう力を伸ばしていくことが大切だと考えます。

Client
成城大学 文芸学部
・設立年:1950年 ・学部:経済学部、文芸学部、法学部、社会イノベーション学部